40代女性 重度歯周炎の治療や根管治療などを行って口腔内の状態を全体的に改善した症例
2025.11
治療前
治療後
| 初めの相談内容 | 「グラグラと動く歯がある。また、歯茎が腫れて膿が出るのも気になるので診察してほしい」とご相談いただきました。 |
|---|---|
| 診断結果 | 拝見したところ、口腔内全体に細菌の塊「プラーク」や、プラークが石灰化した「歯石」が付着しており、これらが原因で歯茎が腫れていました。また、歯を支えている骨「歯槽骨(しそうこつ)」が溶けてしまう「歯周病」が認められ、その中でもとくに重症な「重度歯周炎」を発症しています。 右上前歯2本と左下奥歯3本は他の歯に比べて症状が重度なので、溶けてしまった骨や歯肉を再生させる治療が必要です。 歯周病の進行具合を確認するためにレントゲン撮影を行ったところ、虫歯や歯並びの乱れなども認められたため、歯周病の治療と併せて、口腔内の状態を全体的に改善する必要があると診断しました。 |
| 行った治療内容 | まず、歯茎の状態を改善するために、プラークや歯石を除去する「歯周基本治療」が必要であることをお伝えしました。 歯周基本治療は保険診療内で行うことが可能で、こびりついたプラークや歯石を除去することで歯茎の炎症を落ち着かせたり、新しい汚れが付着しにくくなったりするメリットがあります。 また、口腔内の不調を全体的に改善するために以下の治療方法を提案し、同意いただきました。 ・重度歯周炎が進行中の右上前歯2本と左下奥歯3本には、歯の周りの組織「歯周組織」の骨や歯茎の再生を促す薬剤、材料を埋め込む「歯周組織再生療法」 ・右上の奥歯(第1大臼歯)から左上の奥歯(第2小臼歯)、左右下の奥歯3本ずつには、詰め物と被せ物による治療 ・右上前歯1本、右上奥歯2本、左上奥歯1本、左下奥歯2本には、細菌感染した神経を取り除いてから薬を詰める「根管治療」 ・右上前歯(側切歯)には矯正治療 まず、口腔内全体に付着しているプラークや歯石を専用の機械を用いて除去する「スケーリング」を行います。 併せて正しい歯磨きの方法を指導し、ご自宅でのセルフケアにも力を入れていただくようお伝えしました。 さらに、歯茎の下に付着した歯石を除去する「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」を行い、歯茎の炎症を改善しています。 歯周病が進行している部位に対しては、歯と歯茎の隙間「歯周ポケット」を清掃したあと、歯茎を切開して歯の根を露出させ、歯周組織再生療法を行いました。 この治療により、失った骨の回復や深くなった歯周ポケットの改善を促し、汚れが付きにくい状態にすることで、歯周病の進行や再発を防ぐ効果が期待できます。 骨や歯周ポケットの再生には数ヶ月かかるため、その間に根管治療を行い、詰め物や被せ物による治療と右上前歯の矯正治療を進めました。矯正器具には、歯に「ブラケット」という装置を接着し、ワイヤーを通して力を加えて歯並びを整える「マルチブラケット」を採用しています。 最後に、口腔内全体の環境が改善したことを確認し、治療を終了しました。 |
| 治療期間 | 5年(コロナで中断あり) |
| 費用 | 約1,800,000円 |
| 治療のリスクについて | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります ・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります ・外科処置後のメンテナンスを怠ると、良好な結果が得られない可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です ・処置後は歯ぐきが引き締まるため、歯の根元がしみる「知覚過敏(ちかくかびん)」が起きる場合があります |


